『1は赤い。世界は緑と青でできている』あらすじと感想

本の紹介&感想

こんにちは!

みなさんは、共感覚という言葉を聞いたことがありますか?世の中には文字や聞いた音に色が見える人がおり、その人がもつ感覚を共感覚と言います。

多くの人は特別何も感じないところで色など何かを感じる共感覚者は、世界を少し違う見方をしているかもしれません。そんな共感覚者である望月菜南子さんが自身の共感覚の体験について綴るエッセイ『1は赤い。世界は緑と青でできている』のあらすじと感想を紹介します!

共感覚って何?と思った方は、以下の記事でまとめていますのでご覧ください!

あらすじ&基本情報

著者である望月菜南子さんは、物心ついた時から文字や数字に特定の色が見える共感覚者で、『1は赤い。世界は緑と青でできている』はそんな彼女の共感覚に関する体験や共感覚がある日常について紹介する本です。彼女は現在心理学を学ぶ大学生で、自分の常識とは何かを考えるきっかけになったらという気持ちで本を執筆したそうです。

この本は、自身が共感覚を持っていることを知るずっと前、幼稚園の頃に自分の名前の色について抱いていた疑問について紹介することから始まります。その後は、共感覚に関する他のエピソードや、共感覚を持っていて良かったことや大変だったことも紹介しています。それぞれ一つずつ紹介します。望月さんが共感覚が役に立ったと感じることは九九を覚えた時、逆に共感覚があって大変だったのは源氏の将軍の名前を覚える時だったそうです。どうして役に立ったのか、はたまた大変だったのか、気になった方は本を手に取ってみてくださいね!

他にも、共感覚に関する研究に研究対象者として参加した経験や、共感覚についてのよくある疑問に答えるQ&Aコーナーもあります。

体験記やQ&Aコーナーなど、共感覚について知りたいと思っている方には面白い本だと思います!

感想

※あくまで私個人の感想です。また、ネタバレを含む可能性があります。ご了承ください。※

この本を手に取ったきっかけは、私自身も色字共感覚(文字や数字に色が見えること)を持っていて、他の人の体験談に興味があったからです。自分よりも若い望月さんが、夢でもあったという本の執筆をして出版しているというのは素晴らしいことだと思いました。他の人の体験談を知る機会は今までなかったので、総じて興味深い内容でした。

この本を読んで共感覚者として印象に残った点は、望月さんは色字共感覚のせいで勉強面等で困った経験があると書いていましたが、それでも自身が色字共感覚を持っているということに強く誇りを持っているという点が良く印象に残っています。私は色字共感覚を持っていたせいで困ったという記憶はなく、逆に少し助けられてるかな程度の認識をしており、「色字共感覚を持つ自分」に対する誇りやプライドは特別持っていないつもりです。 共感覚の発現の仕方は多種多様というのは知識として知っていたが、共感覚に対する認識もかなり違うものだなぁと、安直かもしれませんがそんな感想も抱きました。

もう一点、読み進めていく中で違和感を覚えた部分がありましたので、一意見として紹介したいと思います。それは、「色字共感覚は病気なの?」と聞く人に対する回答についてです。望月さんは色字共感覚は病気ではないと強く思われているようで、人から病気と思われること、さらには病気なのかと聞かれることにも多少がっかりしてしまうと書いている部分がありました。確かに自分では病気とは思っていない、反対にメリットもあると感じていることを人から病気と言われるのは気持ちの良いことではないですし、望月さん自身もWHOの分類などを調べたりされたようです。

私の個人的な意見としては、 「色字共感覚は病気なの?」 という問いに対しては違うよとは伝えつつも、そこまで強く反応することでもないかなと思います。というのも、病気とは何かを一義的に定義することは難しいからです。病気は、医学的に捉えるか、社会学的に捉えるか、または政治学的に捉えるかで定義も変わります(もちろんWHOなど権威ある国際的な機関が出す分類法は広く受け入れられるべきと思います)。

社会学的観点から病気の定義をした場合に起こり得ることを例に挙げてみます。ピグミーという身長が低い民族コミュニティがアフリカなどの熱帯森林に住んでいますが、そこに住む身長が150㎝の人はそれが標準なので、病気とみなされずに治療はされません。しかし、例えばアメリカなどの欧米諸国で身長150cmの子どもは、それが低身長が特徴である疾患を持っていると診断されなくても治療することができる国もある、という話を聞いたことがあります。
また、当事者として日常生活において困っているので共感覚を病気として認めてほしいと言う人がいる可能性もあるしなぁ、とも思います。

おわりに

いかがでしたか?
共感覚については、私の経験談も今後更新していく予定ですのでそちらもご覧いただけたら嬉しいです!

また、 『1は赤い。世界は緑と青でできている』についての詳細は、以下よりチェックしてみてください!

電子書籍は以下からどうぞ!

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