【共感覚ってなに?】文字や数字に色が見える話

よしなしごと

こんにちは!あんずです。
この記事では、共感覚という、文字や音、味に色が見えるなど少数の人が持つ感覚についてお話します。私自身も共感覚を持っていて、文字や数字に色が見えます。「え?どういうこと?」と思われる方もいるかもしれませんが、この記事では共感覚とは何か、どれくらいの人が持っているのか、実際どう見えるのかなどを紹介します!

共感覚とは?

まず、共感覚とはなんでしょうか。日本四季彩学会誌に掲載された関西学院大学理工学部の長田典子教授の論文から引用します。

共感覚(synesthesia,シネスシージア)は,一つの感覚刺激(誘因刺激,inducer)から,通常の感覚に加えて別の感覚(併発反応,concurrent)が無意識に引き起こされる現象である.

色と共感覚

少し難しい言葉や英単語を使っていますが、つまりは一つの刺激(文字や音など)が別の感覚(色など)を無意識に引き起こす、ということです。

これ以降、主に長田教授の論文を参考にして共感覚についてまとめていきます!

共感覚の種類は?どれくらいの人が持っているの?

共感覚には、色々な種類があります。最もよく知られているのは、文字に色が見える色字共感覚、そして音を聴くと色が見える色聴共感覚です。他にも、味や形に色が見える共感覚、さらには人に対して色を感じる人もいるそうです。

何かしらの共感覚を持っている人は、昔は10万人に1人といわれたこともあったそうです。ですが、最近では共感覚は4%程度で発現すると考えられているといいます。また、長田先生によると、共感覚は芸術家に多く発現している傾向にあり、その程度は7倍とも言われるそうです。

共感覚には遺伝性が見られますが、その法則性は未だわかっていないそうです。

共感覚の特徴とは?

共感覚には色々な種類があると先に紹介しましたが、共感覚に共通する特徴を4つ紹介します。

①無意識に起こり、自分でコントロールはできない
共感覚者にとっては色などの感覚が引き起こされることが普通であり、それをやめよう、変えようというようなコントロールはできないのです。

②引き起こされる色などの感覚は人によって違うが、個人の中には一貫性がある
例えば、ある人には「あ」という字が赤に見え、またある人には青に見えるというように共感覚者の間で引き起こされる感覚に一貫性はありません。しかし、個人の中では一貫性があり、同じ文字でも時間の経過とともに見える色が変わる、ということはありません。

③記憶を助けることがある
共感覚者にとっては文字や数字が並べば色も並ぶので、名前や電話番号を覚える時に助けになることがあります。円周率πを22514桁まで暗唱するダニエル・タメットも、共感覚の色を使って覚えているそうです。

④情動を伴う
刺激に対して色などの感覚が単に誘発されるだけではなく、好き・嫌いや快・不快といった感情を伴います。

(参考: 色と共感覚 )

これらの特徴は、私自身の共感覚の経験にも当てはまります。詳しいエピソード等については今後更新予定です!

共感覚はどうして起こるの?

共感覚がどういった仕組みで生じるのかについては、まだ解明されていません。しかし、長田先生によると2つの仮説が現在では支持されているといいます。

一つは「ハイパーコネクティビティ仮説」です。以下に引用します。

異なる感覚部位の間に,共感覚固有の強い神経結合(ネットワーク)があるというものである.例えば文字の知覚部位と色の知覚部位は脳内で隣接していて,色字共感覚者ではその間に通常より強い神経ネットワークが見られる 14).

色と共感覚

実際に、文字を知覚する脳の部位と色を知覚する部位は隣接しており、色字共感覚者はその2つの部位の間の神経ネットワークが色字共感覚を持たない人と比べて強いそうです。

もう一つの仮説は「脱抑制仮説」です。

異なる感覚同士を統合する仕組みがあって,通常はそこからもとの低次感覚部位へ信号が逆戻りしないように抑制されているが,何らかの理由によって抑制が低下して,本来流れない別の感覚経路へ信号が流れてしまうというメカニズムである.

色と共感覚

この仮説では、音に色が見える色聴共感覚などの異なる感覚間で生じる共感覚を説明することができるそうです。

あんずはどう見えてるの?

私が持っている共感覚は、色字共感覚です。私の場合、ひらがな、カタカナ、漢字、数字、アルファベットに色が見えます。このブログの黒字で書かれた文章にも自然に色が見えてくるのです。

ではもう少し具体的にどう見えているのかというと、認識した文字の上にぼわっと色が乗る感じで無意識に色が見えてきます。どんな色が見えているのか、実際に数字に色を付けてみました。

1と0はわかりやすくするために枠線を付けています

こんな風に数字それぞれにかなり違った色がついているので、黒字で書かれたカレンダーも私にはカラフルに見えます。

おわりに

いかがでしたか?
今回は、共感覚について紹介しました。「共感覚持ってるの、すごいでしょ!」と自慢したい気持ちでこの記事を書いたのではなく、「こういう人もいるんだよ」とみなさんに知っていただけたらなという思いで書きました。
共感覚を持つ人がそれを周りの人に言うかは人それぞれだと思いますが、私は家族と親しい人数人にしか言っていません。実はあなたの近くにも共感覚を持った人がいるかもしれません!

参考文献

長田典子, ”色と共感覚”, 日本色彩学会誌, Vol.43, no. 2, pp. 111-114, 2019, https://ist.ksc.kwansei.ac.jp/~nagata/data/1905-nagata.pdf

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